1960年代の学生運動の歴史的文書 No.16 |
<【主張】 全国の学友に訴える--二度にわたる羽田闘争から> 民主主義学生同盟全国委員会 1967年11月13日 |
十月八日、十一月十二日二度にわたり、羽田で流血の闘いが行なわれた。労働者階級を初めとする勤労人民、市民、知識人は学生運動のあり方、進み方についてきびしい批判と深い期待をもって注目している。この批判を正しくうけとめ大きな教訓にし、その期待に真に答えるため全精力と、知性を傾けることが全ての学友に求められている。 佐藤首相のベトナム訪問、アメリカ訪問のもつ危険な本質は今や明白である。十二日の訪米に際して、十一月五日共産党の全国的闘い、十一月九日総評社会党の闘い、十二月には現地自治会共闘、全国反戦青年委員会、国民文化会議、学生諸団体が立上った。 これはいかに広汎な国民諸階層が、佐藤内閣の戦争政策をやめさせようと真剣に考えているかの証拠である。大学においてもベトナム反戦への学友の自覚は、痛いほどクラス討議で、ゼミ討議で示されている。 この情勢の中で、今求められている真の敵と闘う学生運動のあり方、進む道は何か。それは国民諸階層と固く団結した全ての学生の参加できる統一した闘いである。 「沖縄では、保守的な人までまとまって、日本復帰の決意や運動をやっており、本土でもそれに見合う国民の幅広い統一戦線が必要である」 (吉野源三郎氏、東京タイムス)。 学友諸君! これこそ求められている答えであろう。 その為には、三派「全学連」のごとき小人数の極左的はね上りを、学友自身の自覚と団結で克服せねばならない。その時、敵権力の破防法論議をもうち破る事が出来る。これこそこの間のたたかいから、わが同盟の得た第一の教訓である。 第二は、大学自治の問題である。内部からの自治破壊者に対して大学自治を守り抜いてこそ、独占資本、佐藤政府の大学支配の政策を打破る事が出来る。三派系「全学連」はヘルメットと棍棒で武装し、深夜、東大教養学部を占拠した。このような行為が続くならば日本の大学が、人民が長い間かかって築いてきた学問の自由、大学の自治が破壊されてしまうだろう。歴史の語るところ国家権力は大学自治の破壊者である。重要な自治の担い手、学生が学園で武装し、破壊活動を行なう。内と外の自治破壊の攻撃に、学問の自由、大学の自治はまきに「崩壊の危機」にある。 我々の任務は明白である。三派系「全学連」のこのような大学自治破壊に対して全大学人が固く団結し、その破壊と闘う事である。そして三派「全学連」の破壊活動を口実に機動隊の大学内導入が計画され、破防法通用が公然と語られる現在、全大学人の共同の努力により国家権力の 「自治破壊」を排除せねばならない。とりわけ、学生の自覚と行動、これこそ、今日決定的に求められている。このための闘いの不充分な事を、我同盟は痛苦をもってうけとめている。いかに困難であろうと学友全体の自覚と団結、教職員との団結をうちかためる事なくして、大学自治は守りきれない。今この為の自覚と団結を、国民諸階層が学生に期待している。 教職員を敵視するエセ自治論を葬り去ろう。一部学生の暴力的自治破壊に対して、教職員、学生が団結して守り抜こう。この道こそ、真の敵と闘う道であり、勝利する道である。今こそ日本学生運動は、その大学自治擁護の戦闘的民主的伝統を再生させる事によって、面目を一新せねばならない。苦悩する教官に、我々が大学自治擁護の闘いに全精力を注ぐことによって答える時である。わが同盟は、その闘いの先頭に立つことを決意している。 十一月十三日 民主主義学生同盟全国委員会 |