「民主主義の旗」第33号 1966年4月6日


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【主張】 現情勢の特徴と当面する課題
【米軍の侵略反対を決議!】民学同第6回大会開かれる

【主張】 現情勢の特徴と当面する課題

Tアメリカのベトナム侵略反対!
 佐藤の戦争協力を粉砕せよ!

1 全国の学友諸君!昨年二月世界人民の反対を押し切って強行された米帝による北ベトナムへの北爆、侵略政策の強化はベトナム人民の当然の権利としての断乎たる反撃と社会主義を先頭とする各国人民の持続的反対によって不可避的に行き詰り、米帝はその打開のために一歩一歩侵略をエスカレートさせてきた。だが「エスカレーション」の一つ一つの段階は同時にアメリカを含む各国人民の反対の激化と米帝支配層内の対立の潜在的深化の過程でもあった。フルブライト上院外交委員長によって代表される米支配層内ジョンソン批判派の見解は刻一刻、一つの流れに合流しつつある米国内反戦運動と各国人民の反対運動、同盟国の離反の傾向に規模されたものであると共にベトナム確保の強硬政策が結果としてベトナムを失なうだけでなく、米帝の孤立と世界支配体制の崩壊にまで至るという危倶にその根拠をおき、米国景気の過熱の傾向と経済政策を巡る対立に裏打ちされたものである。
 最早数段を残すに過ぎない段階まで推進されたエスカレーションにもかかわらず戦局の展望は暗く侵略戦争の長期化は避けられないという現状と以上に見た状況を前にして、ジョンソンは一方で兵員兵器の大量投入によってエスカレ−ションの最終局面の準備を進めつつ、他方で最後的決定を下し得ない状況に追いこまれている。
2 ベトナム「危機」の深化と米帝の侵略戦争の行き詰りは、フランスを顕著な目とする帝国主義間矛盾をより顕在化させている。仏のNATO離脱の方向はその表明であった。
 第二次大戦後のドル・ポンド国際通貨体制を中心軸とし圧倒的に強化された米帝の力を背景とする「一元的帝国主義世界体制」は不断に内部矛盾を醸成し続けてきたが、ここ数年来のドル・ポンド危機は、矛盾の発展を新たな段階に押し進めた。いまや一元的な帝国主義体制は、明白に解体、再編成の方向を辿っている。同盟諸国の離反の傾向は米帝の戟略の硬直化の中でかってなく強まっている。
 こうした状況の下で佐藤政府の戦争協力は米帝の大きな支えとなっている。佐藤政府のベトナム侵略加担は、帝国主導再編成の胎動に主体的に介入するための発音権強化の必要性と共に、日本帝国主義が、「ベトナム危機」を米帝を除く諸帝国主義のいずれにもまして自らの危機(ドミノ理論)として把えざるを得ないという地理的特殊性をも含む特殊的状況に規程されたものである。

3 ベトナム侵略に反対する闘いは、社会主義諸国の闘い、アメリカ反戦運動をも含む各国人民の闘いを基軸として前進している。中ソの不団結は闘いの前進の阻止要因となっているが、中国共産党の極左冒険主義が各地でその欠陥を露呈していくというある意味で悲劇的契機を通じて孤立化する中で、ベトナムについての共同行動の条件は成熟しつつある。
 二月北爆再開の強行がインドシナ全域への戦火の拡大、ハノイ・ハイフォン爆撃の危険性を含んでいる現在、3・26国際連帯行動にも見られる反対闘争の展開がいまこそ行なわれねばならない。佐藤政府の米帝支持の政策が大きく戦争勢力を支えているとき、優れて国際的な闘いとしてのベトナム反戦の闘いを佐藤政府の戦争加担に対決する闘いとして遂行することこそわれわれの任務である。ベトナム情勢が米帝の侵略の行き詰りの中で長期化しょうとしている時各大学平和委員会の強化を基軸として、持続的日常活動を展開しなければならない。

U 憲法改悪への道=小選挙区制断乎粉砕!

4 日韓条約強行突破によってその右方旋回を急速化した佐藤を代弁者とする日本独占は、国際的には帝国主義の政治経済的発展の不均等性が一定の段楷に達し、またベトナムを巡る緊張の激化の中で帝国主義矛盾が顕在化しつつあり、外見的にしろ一元的帝国主義体制は解体しつつあり、その再編成への胎動がいつにもまして進行していること、国内的には不況過程から、より強化された独占支配を以って脱出することを計らなねばならないという状況そして同時に階級対立が激化しているという状況によって規程されつつ、反動攻勢をかってなく激化させている。安保闘争後成立した池田内閣が政治的には階級対立激発の回避とマヌーバー的低姿勢(大がかりな迂回作戦ーーそれさえも後半には変質した)経済的には高成長政策による資本の高蓄積と独占強化をその使命としていたのに対して、佐藤政府は池田が到達した地点から、@日韓条約にはじまった海外膨張政策をより一層強力に展開し、帝国主義体制再編成の胎動に主体的に介入すること、そのために必要ないっさいの処置--ベトナム協力、自衛隊海外派兵への地ならし、東南アジア閣僚会議、アジア(反共)外相会議の開催等−をとること。A国内的には独占支配の強化、治安体制の整備、改憲にかけての長期安定政権の確立等にその「歴史的」任務を置いている。総じて本格的帝国主義国として名実共に自己を強化することが佐藤政府に対して独占より与えられた歴史的性格であり任務である。
 佐藤が、日々不評を高めつつある時点で矢継ぎ早に反動攻勢を展開してくるのは、とりわけ日本資本主義の過剰生産のかつてない深化の中で激化しつつある国内階級対立を、資本の優位において先制的に解決しなければならないという要請と、ベトナム「危機」を自らの危機として把えざるを得ないという日帝の矛盾に基礎をおいている。
5 現下の情勢の中で、佐藤内閣の攻撃は独占資本の再強化と大衆収奪の強化による経済危機突破を一つの軸としつつ、労働運動をはじめとする民主勢力との全線的対立と弾圧を他方の基軸とする政治反動を露骨に展開している。当面の政治課題は、自衛隊の強化、核武装への前進を阻止する闘いと、自民党による長期安定政権確立のための小選挙区制粉砕の闘いに集約されるであろう。
 第三次防衛計画に予定されているミサイル兵器の大幅導入をも含む軍備強化の方向は、明らかに核武装、海外派兵に進路が向けられたことを示している。沖縄派兵発言、「国連協力法」案「国防省昇格法」案等は、改案への突破口、地ならしとして企図されており、それは小選挙区制反対の闘いとも結合される内容をもっている平和委員会を中心として日常的恒常的宣伝と政治暴路−小選挙区制粉砕の闘い、総じて改悪阻止の闘いへの合流のための活動をねばり強く展開せねばならない。

6 政治危機の克服と改憲にむけての多数派工作としてだされてきた小選挙区制は日本独占の政治プログラムの当面の突破口として大きな比重をもって登場してきた。
 小選挙区制は選挙の毎に暴露される醜悪な腐敗行為に対する国民の批判を、積極的に汲み上げることを装いつつ保守長期安定政権の確立をその主要な目的としている。傾向的な得票数、得票率の低下、改憲に必要な議席数の確保の困難さ、それのみに留まらず絶対多数としての政権の維持さえも困難になるのでほないかという危機感--この事態に対処し、長期安定政権構想憲法改悪への布石として出きれてきたのが、小選挙区制の意図である。

 三六年に成立した選挙制度審議会は昨秋第三次答申を提出した。佐藤はそれを一層具体化させるため、小選挙区論者によって大半が占められる第四次審議会を発足させ、小選挙区制実施への大きな一歩をふみだした。自民党内にほ小選挙区制をめぐる一定の分岐が依然としてあるが、にもかかわらず共通の危機感と改憲への新たな里程標を築き上げるためにほぼ小選挙区制実施の方向に集約されつつあるといえるだろう。
それが与える影響は保守党の長期支配体制であり、政党規制と民主主義の形骸・空洞化、改憲、ネオファシズムの道である。
 こうした反動攻勢に対して、共産党、社会党、公明党三党の「憲法擁護、小選挙区制粉砕連絡会謙が、三月三〇日東京で結成された。今日まで分岐を深めていた民主勢力の状況を考えるとき、必らずしも楽観は許されないが、小選挙区制問題についての課題別共闘が組織されたことは大きな成果といい得るだろう。
 われわれほ改憲への重要な一歩であり、四月下旬第四次答申が予定されている小選挙区制絶対反対の闘いを断呼として闘わねばならない。全国の学友諸君!四月、五月中旬までの全国的一斉カンパニア--小選挙区制・意法問題の政治宣伝、暴露を強力に展開し、三党「連絡会議」の闘いに合流しつつ、大衆行動を展開しょう!そしてその準備をいまから開始しよう!

V 教員免許法改訂反対!
  大学設置基準改悪省令化を阻止せよ!

7 国際国内政治課題が反動派との厳しい対決を不可避的に激化させている現在、慶応、早大闘争に劇的な形で展開されたごとく大学自治と学生生活に対する攻撃もかつてなく激化し、教育、学園闘争の重要性は、それなしには学生運動が有利な闘いを進め得ない程までに高まっている。
 今日の大学自治と学生生活を巡る情勢一総じて「大学危機」といわれる情勢の特徴は、第一に、政府の文教政策の貧困さと経済不況に規定されて、学生の経済生活が極めて困難化していること、にもかかわらず学生の負担(収奪)が増大していること、第二に戦後教育破壊の集大成の政策が進行していることにある。池田「人づくり」政策の二つの支柱である科学技術教育の強化(ハイタレントの養成)と「道徳教育」の推進を引きつづき発展、徹底化させながら、体制内イデオロギーの人民への浸透・定着化、ナショナリズム、大国王義の下での「国民的統一」の達成に、今日の教育イデオロギー政策の重点がおかれている。

8 学生に犠牲を強要する教育政策の貧困
化と各大学での個別に展開されている大学自治の制限、それの集約としての反動教育立法・省令は、現時点で次の諸点に集中化されている。
 第一に教育の複線化、教育系大学の「目的大学」化による権力支配の貫徹、教授会の無力化学生自治の迫害の突破口として企てられている教員免許法改悪である。教員免許法改悪の特徴は、単位取得の強化による「開放性」教員養成から、実質的な「封鎖制」への移行である。問題の深刻さは「複線型」教育体系への志向が大学までおよび、現在、教育系大学の名称変更、教員免許法強化をテコにして進められていることにある。
 第二に、第一点と密接に結びついた大学設置基準の改悪である。それが主要に目指しているのは、単位取得基準の改訂による一般教養科目の縮少、軽視であり、マスプロ教育の是認である。理工系学部において特に傾向的に一般教育のなしくずし的縮少が進行している。全国一律の大学設置基準を文部省令で実施しょうとしているのはこの合法化をはかるものであり、その結果は教養教育の理念を全面的に破壊するものとなるであろう。
 第三に、東北大、東京教育大、鳥取大等にみられる大学の移転・統合問題。長崎大、東京学館をはじめ、ほとんど全ての大学で問題となっている、学館の管理規程を通じての大学と学生の権利の縮少、国家権力の介入による自治の破壊である。
 第四に、私学授業料の値上げ、負担区分の強化にみられる学生の経済生活の圧迫である。

8 こうした体系的、全面的な教育破壊、
大学自治への攻撃に対して、冬学園を砦に大学ぐるみの闘いによって反撃を組織しなければならない。
 教育・学園闘争は各大学で特殊的・個別的な状況を確かに持っている。従って各大学の詳細な分析の上に方針が提起されなければならないと同時に各大学の闘争経験の交流、情報交換を強めなければならない。
 関西における教育問題についての連絡センターの結成が要請されている。
 大学設置基準の省令化を阻止し、教員免許法の改訂に反対する闘いこそ、教育学蘭闘争の全国的な共通課題としてあるだろう。
 宣伝、カンパニア活動、そして五、六月段階での各自冶会の統一した大衆的な闘いを、各大学において直ちに準備しょう!

 
【米軍の侵略反対を決議!】民学同第6回大会開かれる

 三月三〇日、民主主義学生同盟第六回臨時全国大会が大会代議員総数の九割を越える代議員及びオブザーバーの同盟員多数の参加の下に大阪で開かれた。
 「学園を砦に全ての戦線で運動と組織を創り出し、学生戦線の再建、統一をめざす頑強な長期闘争の第一歩を踏みだそう」をメインスローガンとして行なわれた大会は、四月以降の大衆闘争の方針を巡って綿密な討論を行い、新たに全国委員会を選出して午後九時半開会した。

大会は新たに支部を結成した新潟大学、東京教育大学の学友の決意表明が圧倒的な柏手で迎えられる中で開かれた。新潟大学支部の代議員は支部建設の過程で同盟の影響力が、広汎に存在している無党派活動家の中に急速に広がりつゝあること、その集約の中で必らずや新潟大学の大衆闘争を昂揚させ、北陸地方においてわが同盟の一大拠点を築き上げることを力強く誓った。三月にこれまでのグループから支部結成に踏み切り、四月に公然たる大衆運動を開始することを予定しでいる東京教育大学支部の代議員は民青、共青等の学内諸派の動向を含めて報告し、首都学生運動を支える中核支部を必らず早期に建設する決意を力強く表明した。
 続いて全国委員会からの一括提案の後に討論に移った。討論は主として平和委員会活動・教育学園闘争の課題と方針、小選挙区制を巡る政治情勢と任務、学生戦線統一問題に集中して行なわれ、時間的制約があったにもかかわらず、卒直且熱心な討論が展開された。
 大会は、ベトナムへの米帝の侵略と佐藤の戦争加担に反対する闘い、民主勢力の圧殺と憲法改悪への道をはき清めようとする小選挙区制法案に反対する闘い、教月免許法改悪、大学設置基準改悪省令化をテコとして行なわれようとしている政府・独占の民主的教育への攻撃をはね返し、大学自治と学生生活を守る闘いーー以上三つの闘いが、四月以降の学生戦線の中心的課題であることを確認し、全国委月会提案を全会一致で採択した。
「この、五大会以後の三カ月の闘て大会報告議案は次のように述べている。
「この五大会以後の三ケ月の闘いは、昨秋わが同盟の陥入った一定の組織的政治的停滞が基本的には克服されつゝあることを示している。先駆的意義を有した運賃値上げ反対カンパニア、東京・新潟における新支部建設、立命支部の公然たる大衆的登場、そして同盟指導機関の確立、戦線別グループ会議の恒常的開催等。同時にこの間の闘いは、理科大、神奈川大、早大、立命大等に特徴的なように全国の民主的学友が、今日の学生戦線の混迷と分裂を打破る新たな学生運動の指導主体の登場を真剣に待ち望んでいることを立証した。以上の事実は、わが同盟の新たな躍進のための主体的客観的条件の成熟を意味し、わが同盟に課せられた責務の重大さを意味している。」
「今大会の意義は、われわれの勝取ってきた強固な陣地に立脚し、危機的様相を胎んで急展開しつつある内外情勢と、学生戦線に課せられた責務、そして全国学友の期待に応えるべく四大会で確定されたわれわれの基本路線の実現をめぎし、新たな再進撃への突破口を打開く大会であるという点に存在し、従って今大会の任務は、そのための一切の諸準備−科学的情勢の分析、可能な限りの戦線分野別の具体的な方針の樹立、戦線統一え向けての当面の獲得目標の設定、大衆的民主的同盟建設をめざす首尾一貫した活動計画の確立、そして強固な新指導部の選出ーーの遂行にある。だとするならば、まさに、われわれは今大会を真の「ワーキング・コングレス」=「働く大会」としなければならないだろう。」現実に開かれた大会の経過は、この議案が述べている大会の意義と任務を成功的に達成したということができるだろう。

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